浜辺の小さな住人
西表島の浜辺を歩いた時、足元にたくさんのヤドカリやカニがいることに気づきました。
ヤドカリは鮮やかな美しい色の貝を背負っているものが多く、大きさもさまざまです。小さいものは大豆くらい、大きいものは花豆くらい。どのヤドカリも、自分の体にぴったり合った貝を背負って歩いています。
ほんの少し地面が揺れただけで、すぐに殻の中へ隠れてしまいます。ところが、こちらが静かにしていると、ほどなくしてそっと脚を出し、また何事もなかったように歩き始めます。
淡いベージュ色の砂浜に小さな生き物の世界。見慣れないその光景に、自然と描いてみたい気持ちが湧いてきます。
ヤドカリが使っているのは、もともと巻貝が残した空の殻。成長すると今の殻が窮屈になり、自分に合った大きさの殻へ引っ越していきます。
面白いのは、その引っ越し事情です。
条件のいい貝殻をめぐってヤドカリ同士で争い、相手の殻をつついたり引っ張ったりすることもあるそうです。種類によっては、相手を殻から追い出して奪うことさえあります。
一方で、ヤドカリが大きさの順に集まり、それぞれ少し大きな殻へ次々と入れ替わるような「引っ越し」が見られることもあるそうです。
浜辺でのんびり歩く姿からは想像しにくいけれど、住まい事情はなかなかシビアです。
一方、カニはまた違った印象でした。
真っ白な体に、細く長い脚。輪郭がとてもシャープで、砂浜の上をすっと横切る姿が美しい。まるで「ここは私のステージ」とでも言うように、長い脚で堂々と歩いていました。
丸みのある貝を背負ってちょこちょこと動くドカリと、白いシルエットで軽やかに歩くカニ。
同じ浜辺の小さな生き物なのに、形も動きもずいぶん違います。
色も形も違う貝を背負ったヤドカリたちと、白いカニが行き交う浜辺の景色は、今もよく覚えています。
いつか、あの小さな住人たちを画面の中に描いてみたいと思っています。









